【原創】明治吸血奇譚「月夜叉」師走の巻冲方躁 CV.立花慎之介［本篇台本翻訳無］

Civi0 · 发表于 2014-12-27 13:41:11

本帖最后由 Civien 于 2015-4-29 09:44 编辑

61WjP9J oXL.jpg

感谢墨咲纠错指正 {:tuan_zi08:}
若有失误还请大家多多包涵～m(_ _)m

一、眩暈

ん？やっと目が覚めたの？お早う～ごめんね、いきなり吸ってて。っ、はは。無駄だよ。俺が満足するまで大人しく吸われてなよ。起きるまで待ってようと思ったんだけど、我慢できなくて。ふん、もう少し耐えなよ。殺すつもりはないから。必死だね。そんなに逃げたい？でも、駄目だよ。こんな極上の食事が目の前にあるんだ。腹いっぱいになるまで耐えられなくちゃ、ね。はは～これが卑弥呼の末裔の血か。確かに血の質が違うね。今まで飲んだどの血よりも格段に美味しいよ。それに、ふふ、あんたまだ男を知らないね。あ～嬉しいね。喵女の血は特に好きなんだ。ん？痛い？大丈夫、もう少ししたら、気持ちよくなるさ。だからもうちょっとくらい吸ってもいいだろう、ね。力が抜けてきたでしょう。いいんだよ、身を任せれば。あんたがまだ知らない快楽を教えてあげる。ん？あれ？ああ、気持ちよくなってきたんじゃなくて、貧血で眩暈を起こしちゃってる？あ～吸い過ぎちゃった。ふふ、ごめんね。

二、虜囚の選択

ああ、起きたの。お早う。よく寝るね、あんた。もう昼だよ。ん？どうしたの。そんなに目を見開いて、寝惚けてるってわけじゃなさそうだけど。うるさい。ちょっと、止めてくれない？こんな距離で悲鳴なんか上げないでよ。はは、俺が怖い？そっか。それが血を吸われた後の人間の反応なんだっけ。久しぶり過ぎて忘れてたよ。普段は相手が快楽でわけ分かんなくなってるところを吸うからさ。相手も痛みを感じる暇ないんだよね。生かしておくこともないから、気持ちよ～くきゅうきゅう俺を締め付けながらいって、そのまま死んじゃうわけだけど。殺さなかったばっかりに怖がらせることになって。ごめんね。本当はあんたも気持ちよく死なせてあげたかったんだけど。でも卑弥呼の末裔とあっちゃね、殺せないよ。しながら血を吸われんのって、最高にいいらしいし、俺もやりながら吸うのって、大好きなんだけどね。でも、せっかくあんたは喵女なんだから、今後何度も吸うことを考えると、より美味しい血のままでいてくれたほうが俺も嬉しいんだよね。だから、体は繋げないでおくよ。最高に気持ちよく吸われる気分は味わえないだろうけど、でも普通によくしてあげるからさ、我慢してくれる？はは、なにその顔。口がぽっかり開いてるよ。見てらんないくらい間抜け面だから、口は閉じようね。ん？何か分からないことでもあるの。何もかもって。あんた、もしかして夜叉を知らないの？は、ははは～あ、そう、知らないんだ。へえ、それじゃその間抜け面も頷ける。あんた、俺のこと何だと思ってたの。血を吸いたがる思考を持った*喵喵喵*野郎とでも？は、まあ、大して違わないかもしれないけど。ここで暮らす上で夜叉のことも知らないんじゃ、不便だろうし。教えてあげるよ。夜叉っていうのは人間の血を餌にして、腹いっぱいになったら、その人間を頭から丸齧りする妖怪のこと。だからあんたも後何回か俺に血を吸われたら、頭から食べられて死んじゃう運命にあるんだよ。ふ、ふふ、ははは～いいね、その顔。絶望しちゃった？私ってばなんで不幸なんでしょうとか思っちゃった？はは～冗談に決まってるでしょう。今のは単なる迷信。見てごらんよ、俺の牙。ほら。ふん、ね。骨なんて砕けそうにないでしょう。夜叉の牙はあくまで皮膚を突き破るためにあるんだよ。俺は人間の肉も骨も食べない。好むのは真っ赤で椿みたいな血だけだ。俺たち夜叉はね、血を飲まないと生きていけないの。まあ、そういった意味じゃ妖怪かもね。田舎じゃわりと知られてるんだよ、夜叉って。現にこの北海道でも夜叉の噂が広がってるけど、あんた知らなかったの？なんで。へえ、そう。親が死んだから遠縁を頼って、北海道に来たばかりなんだ。はは、じゃ、身寄りがないってことでいいのかな。それはますます好都合だな。何の気兼ねもなく、あんたをここに軟禁できちゃうもんね。ん？だから、あんたは残りの一生をここで過ごすの、この黎明館でね。ここには、俺を入れて全部で六人の夜叉が住んでる。あ、まだ名乗ってなかったっけ。は、俺は冲方躁。ぜひとも下の名前で呼んでよね、よろしく。あんた、ほかの夜叉にはまだ会ってないんだよね。あ、霧ちゃんにだけ会ってるのか。ほら、眼帯してる子。あんたを攫ったあの子も俺と同じ夜叉で黎明館に住んでるんだけどね。まあ、そういうわけで、あんたはこの館で唯一の人間だから、それでこれから毎日俺たちのご飯になるの。たくさん血を吸われるから、きっと毎日とっても気持ちよくなれるんじゃないかな。ふふ、はは。あれ、随分と青い顔をしてるね。怖いの？こんなところで餌になって暮らすなんて冗談じゃない、逃げ出してやるって思ってる？ははは。素直だね。まあ、あんたがそういうつもりなら、仕方ないか。じゃ、街まで案内してあげるよ。おいで。ふふ、そんな警戒しなくてもいいから。ついておいでって。いきなり血を吸ってた俺が言っても説得力がないだろうけど、無理強いって趣味じゃないんだよね。だから、あんたがここにいたくないって言うなら、それでいいと思うよ。ほら、一人で館を出ても遭難するだけだし。道案内するよ。こっちが玄関に続く階段だから。あ、足元、暗いから気をつけてね。うん、ちゃんと街まで案内してあげるよ。ちょうど俺も街に用事ができたところだしね。あと、そうだ。街まで行くなら、着替えてこないと。玄関すぐそこだから、ちょっと待っててくれる？ぱぱっと済ませてくるから。お待たせ。じゃ、行こうか。うわ、寒いね。ん？あ、似合うでしょう？警官の   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   。俺、元警官なの。だからこの   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   は本物。首になった時にがめてきちゃった。これを着てるとね、人間に警戒されないんだよ。だから街に行く時は必ず警官を装うようにしてる。今あそこは夜叉の噂で持ちきりだからね。見知らぬ人間に対して、警戒心が強いやつらばっかりでさ。面倒なんだよ。まあ、夜叉ってあんたたち人間と見た目は同じだからさ、正体を見破られることなんてないんだけど。まあ、それでも警官に扮してると無条件で信用されるから、重宝してる。まさか警官が夜叉だなんて誰も思わないもんね。ふふ、人間ってちょろいよね。本当助かるよ。一方で、このご時世に下駄なんてだっさいのを履いて明らかに浮いちゃってる馬鹿な夜叉もいるんだけど。あ？は、何でもないよ。むかつく奴を思い出しただけ。はは、そんなに心配？いいよ、逃げてくれて。駄目なら、こうやって案内するわけないでしょう。そんなに疑わないでよ。ふふ、どういたしまして。ああ、俺の用事？最初に声をかけてきた人間の血を吸って、用が済んだら絞め殺すために街に行くんだよ。ん？どうしたの？街はまだまだ先だよ。立ち止まってないで歩かないと、寒いでしょ。ふ、あんたの顔はすぐ青くなるんだね。なに、俺の用事は予想外だった？だって、夜叉も腹が減るんだ。なのに、あんたは俺たちの食事になってくれないって言うんでしょう。じゃ、ほかで調達するしかないじゃない。うん、そうだよ。あんたが黎明館から逃げるなら、俺たちはほかの人間を殺す。そうしないと、俺たちも生きられないんだし。まあ、仕方ないんじゃない。今までは腹が減ったら、適当に街で人間を攫って血を目いっぱい吸って殺して、そんで山に捨ててたんだよね。ほら、殺さないと、俺が夜叉だってほかの人間にばれて困るでしょ。だから街じゃ行方不明者がたくさん出てて、神隠しとか五稜郭の亡霊の仕業だとかいろんな噂が蔓延してる。あんたくらい濃くて質がいい血がいつでも吸えれば、俺たちは満足だから、街の人間が攫われることもなくなっただろうけど。でもあんたは俺たちと暮らすのは嫌なんでしょう。俺も無理強いは嫌だし。それじゃやっぱり仕方ないよね。やっと安心して暮らせただろうに、町の人たちは可哀相だな。ん？あ、あんたは自分の価値も知らないのか。あんたはね、遥か昔に存在したっていう女王卑弥呼の末裔なんだよ。卑弥呼の血は夜叉にとって特別なもので、ただの人間何百人分もの効果がある。あんたの血は夜叉の血を濃くするし、俺たちに活力を与えてくれる。まあ、噛み砕いて言えば、飛びっきり美味しい栄養満点の秘薬みたいなものかな。本当にそんな血があるのか俺はちょっと疑ってたんだけどね。昨日あんたの血を吸ってみて分かったよ。確かにあんたは俺たちにとって特別だ。だからね、あんた一人で俺たちは満足できるけど、あんたがいないならこれまでと同じようにたくさんの人間を殺して血を吸わないといけないってこと。分かった？ん？なに、聞こえなかったな。もう一度言ってくれる？ふふ、そう？へえ、逃げたくなくなったの、そうなんだ。はは、あんたがそう言うなら、俺も街に用事がなくなっちゃったな。じゃ、館まで戻ろうか。ね、確認していい？つまりあんたは自主的に黎明館に住むってことだよね。そんで求められれば、いつだって俺たちにその美味しい血を捧げてくれるってことだ。合ってる？うん、いい子だね。それなら、あんたの残りの一生は黎明館に住む夜叉のものだよ。あんたは差し詰め囚われのお姫様ってところかな。あ～違った。好きで俺たちと暮らすんだから、囚われのなんて失礼かな。ふふ。あ、ほら、もう玄関が見えたよ。これからあんたが楽しく人生を消費する館の入口だ。はい、到着。おいで。ただいまってちゃんと挨拶するんだよ。

三www.otomedream.com#0?2 Y n/ y# w4 A) r、おやつの時間

躁だけど、入るよ。うわ、そんな思いっきり顔引き攣らせなくても、別に取って食ったりはしないよ。高が一回血を吸われたぐらいでそんな露骨に怖がんないでくれる？仲良くしたいって思ってるんだからさ、せめてちゃんとこっち見て目を合わせるくらいしなよ。分かった？ふふ、分ったならいいんだよ。じゃ、台所に来てくれる？カステラを手に入れたからさ、おやつに付き合ってほしいんだ。もちろん付き合ってくれるでしょ。じゃ、あんたは紅茶入れてくれる？俺はカステラを切るから。うん、カステラ好物なんだよね。この国は開国してよかったと思うよ。こんな美味しい菓子が北海道なんて僻地でも手に入るようになってきたし。ああ、夜叉も人間と同じように食事はするからね。別に食べなくてもいいんだけど、嗜好の問題かな。俺は特に長いこと人間の顔を被って暮らしてきたからさ、毎食食べないと落ち着かないくらい。ん～いい香り。ありがとう。カップはそこのテーブルに置いてくれる？あ、あんたの分は入れなくいいよ。じゃ、食べようかな。いただきまっ。ん？なに屈まってる？はは、あんたの分もあると思ってた？嫌だな、誤解させちゃった？カステラも紅茶もあんたの分は元からないよ。だって、あんたも俺のおやつなんだから、おやつにおやつを分けたりはしないでしょう。こっちにおいで、手を出して。早くしなよ。言うこと聞けないの？うん、そうそう。じゃ、ちょっと失礼。うっとりするいい色だね。指を紅茶に翳して。あ～いいね。なかなか素敵な匂いがする。紅茶と血は相(xing)がよさそうだ。西洋にはジャムと一緒に紅茶を飲む習慣があるらしいから、俺も真似してみようと思ってたんだ。ん～やっぱり予想通りとても美味しいよ。気に入ったな。あ、駄目だよ。手を引っ込めないでくれる？まだ血が出てるでしょ。それも俺のおやつなんだから、貸してごらん。ふ、おやつにはちょっと刺激が強過ぎるね、あんたの血は。夕食にするのがぴったりだ。けど、やっぱり人間の血は直接肌に牙を突き立てて、傷口を舌でなぞりながら飲むのは好みだな。そのほうが相手を征服してる気になるし。ん？もう血、止まっちゃったか。まあ、いいや。じゃ、カステラを食べようかな。美味しい、最高。あ？なに、こっちをじっと見て。カステラ食べたいの？は～じゃ、俺を楽しませたら、食べさせてあげる。ここから食べなよ。ゆっくり俺の目を見ながらね。は、嫌なの。あ、そう。こんなに美味しいのにね。口移しで物を食べるくらい遊郭じゃ当たり前の遊びだよ。水揚げ前の新造だって楽しんでみせるのに、あんたはできないの？はは。へえ、自分は遊女じゃないって。自分は他人の命のために血を差し出す高尚な人間だから、金のために春を売る遊女なんかと一緒にしないでって言いたいの？はは、おかしいな。俺からすれば、あんたのほうが理解できないけど。金のために己を切り売りする遊女のほうがよほど健全じゃない。一度しかない生を他人のために棒に振るなんて、俺ならまっぴらごめんだよ。ああ、でも、そんな愚かなあんただから、俺たちは助かるんだっけ。それじゃ、たまにはご褒美をあげないといけないね。うん、一切れだけ分けてあげるよ。お食べ。はい、あーん。ふ、よっぽど空腹だった？食べ物なら、この台所から勝手に取っていけばいいんだよ。今度からはそうしてね。で、どう？美味しい？そう。じゃ、俺もおかわりしようかな。カステラと血が混じったら、どんな味がするのか。試させてよ。逃がさないよ。ほら、舌を出して。甘いね。紅茶に垂らすよりカステラと一緒に食べるほうがあんたの血は美味しいかもね。ふふ。口の中どろどろだよ。あ～美味しかった。ご馳走様。はは、泣いてるの？カステラをくれたからって俺のことを一瞬でも優しいなんて思っちゃった？は、あんたは可愛いね。お人好しの間抜けでとっても愚かなお姫様だ。そんなんだから、簡単に唇を奪われちゃうんだよ。は、口付けは初めてだった？いい思い出になったでしょう。ね、あんたはずっとそのままでいてね。そうしたら、毎日のように可愛がってあげるからさ。

四、物騒な談話

ん？そこにいるでしょ。出ておいで。やっぱりあんたか。夕食を食べてきた帰り？まあ、いいや。一人で退屈してたんだ。少し相手してよ。銃の手入れ中は誰かと喋ってたくてね。丁寧にやると、とにかく時間がかかるからさ。ほら、そっち座って。そういえば、ほかの夜叉にはもう会った？でもその様子じゃ、そんなに仲良くしてる感じじゃないね。怖くて避けてるんでしょ。今だって俺が気づいて声をかけなきゃ、あんたは静かにここを通り過ぎて部屋に逃げ帰ってたんじゃない。は、図星かな。そんなんじゃ疲れるばかりだと思うけど。別に夜叉っていっても、言葉が通じない妖怪なわけじゃないんだからさ、頑張って仲良くしてみたら？一人を除けば、ここにそんな悪いやつはいないよ。隼人にだけは近づかなくていいけどね。あいつは脳筋だし、声がでかくてもはや騒音だし、話が通じなくて相手をするのも面倒なタイプ、早く死ねばいいのに。この銃であいつの頭を撃ち抜くのが夢なんだ。でも案外すばしっこくて、手こずってるんだよね。本当忌々しいったら。あ？この銃？違うよ。狩りでなんて使わない。長銃も短銃も保身のためのものだよ。これは俺が俺のために使う銃だから。あ？分かんない？まあ、そうだろうね。夜叉が人間の皮を被って生きていくのって結構難しくてさ。俺の場合は銃を扱えないと絶対に無理だと思ってたわけ。まあ、それで警官になってから必死で練習したよね。で、めでたく拳銃所持の許可をもらった。それからは人間としてあちこちで活躍したよ。どれくらい撃ち抜いたか全然覚えてないくらい。軽く百を超えてるだろうね。ああ、戦争で俺が一番辛かったことって何だか分かる？はは～大事な人を失った？そんなわけないじゃん。全然違うよ。正解はね、夜叉だってばれたらまずいから、大っぴらに血を吸えなかったことだな。あれだけ血が流れてるのに、好きに貪れないなんて辛かったな。あれはほとんど拷問だったよ。まあ、隙を見て結構吸い殺してはいるけど。あ、一番興奮したのはね、腰を抜かして泣きながら死にたくないって訴える敵を撃ち殺すんじゃなくて、喉元に食らい付いて吸い殺してやった時かな。戦で死ぬんじゃなくて、訳の分からない化け物に襲われるっていう恐慌状態が伝わってきて。はは～最高だった。ああいう興奮は普段はなかなか味わえないよね。あ～やっぱり警官はよかったな。人間社会に馴染もうと思ったら、夜叉は間違いなく警官を目指すべきだよ。何しろ堂々と人間を殺せるわけだし、吸い殺した人間の第一発見者になっても、警邏中だったとか言えば疑われないし。万が一不利な証拠とか出てきても、内部で簡単に揉み消せちゃうんだ。本当楽だったな。まあ、そういうわけで俺は人間として生活するために警官になって、警官を続けるために銃が必要だったの。サーベルしか持てないぺいぺいの警官じゃ、捕り物の時に人間を斬るしかないじゃない。血飛沫浴びるのは避けたかったんだよね。正気を失ったら困るし。だから、これは俺の保身のために使う、狩りなんてするわけないでしょう。レイちゃんじゃあるまいし、肉が食べたきゃ街で買えばいいじゃない。警官をやめた理由？は、別に何だっていいでしょ。それより、あんたもなんかないの。いくら俺が付き合ってって言ったからって、こっちにばっかり喋らせ過ぎだと思うんだけど。俺を楽しませられるような話題とか特技とか、何かないの？ん？この紐？銃身の掃除に使うやつだけど。まあ、いいよ。いくらでもあるし、使えば。結んで。輪にして。それで、何するの。は。あんた、嘗めてんの？綾取りでほうきって、は。ね、それで俺が楽しむと思った？嘘でしょ。駄目に決まってるだろう、そんなもん。つまなすぎ。もっと別のことやってよ。は、あのさ、何やってんの。橋に、亀。そう。あ、もう止めてくれる？あくびが出そうだから。俺は別の綾取りを見せろって言ったんじゃなくて、もっと別の特技なり何なり見せろって言ったんだけどね。は、もういい。どっか行ってくれる？すっかり白けちゃったよ。紐はここに置いてかないでよ。その紐見てたら、今のあまりにつまらなかった綾取りを思い出して、あんたの首を絞めに行っちゃいそうだし。はは。はい、バイバイ。

五www.otomedream.com#0?1 K; Y/ S r, ]、五稜郭の亡霊

ん？ああ、あんたか。お早う。じゃね。あ、なに。出かけるよ。ていうか、いちいち聞かなくても分かるんじゃない。警官の   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   着てるんだし。は？なんであんたを連れてかなきゃなんないの。面倒臭いから、お断りだよ。へえ。面倒いのに捕まったな。なに、やっぱり逃げ出したくなったとか？だとしたら、今さらなにって感じだけど。ああ、そう。単に人恋しくなった感じ？ん～まあ、いいか。街に着いても別行動だけど、構わない？じゃ、いいよ。道中が一緒になるくらいなら、そこまで面倒にもならなそうだし。街までの長い道を歩く間の暇潰し相手くらいにはなるでしょ。万が一吹雪に見舞われて遭難しかけても、あんたなら非常食として十分役に立つしね。は、吹雪かないように精々祈っとけば。ほら、とっとと支度しておいで、十数えたら出かけるよ。あ～よく晴れてるね。これじゃ非常食の出番はなさそうだ、残念。ん？ああ、街へ煙草を買いに行くんだよ。一箱切れる度に買い出すようにしてるから。纏め買いはわざとしないの。何か口実をつけて街に行くのは好きなんだよね。だから煙草を買う時は一箱だけって決めてる。そろそろ街の入り口だよ。見えるでしょ、ほら。それじゃ、この辺でお別れだね。帰り道は分かる？まあ、一回歩いただけで分かるわけないか。あ、じゃあ、帰りは待ち合わせね。月が昇ったら、あっちの木に集合ってことでいい？別に遅くないでしょ。せっかくここまで山道下ってきたんだから、すぐ引き上げるのなんてもったいないじゃない。夜まで好きにさせてよ。じゃね。ごめんね、遅くなって。待ったでしょ。ん？なにその顔。随分と強張ってるけど、そんなに寒かった？だったら、俺が来るまで風の当たらないところにでもいればよかったのに。なに改まって。は、なんだか怖い顔をしてるね。あ～はは、そっか。聞いちゃったんだ。へえ、もしかしたら大丈夫かと思っただけど、案外あっさりとばれるもんだね。そうだよ。相変わらず街じゃ行方不明の人間が多発してるね。あんたが黎明館にやってきてからも、もう何人も行方知れずになってる。ふ、人間どもはすっかり怯えちゃって、暮らしにくそうにしてるよ。はは、いい気味。は、どういうことですか。そんなの、あんたが想像してる通りだよ。あれは街の人間を攫って血を吸って、用がなくなったらちゃんと死体を山に捨ててる。何もあんたが来る前と変わってないよ。はは、気付くの遅いんじゃないの。煙草を一箱買い求めるために街に下りるなんて変わってますね。だって、馬鹿みたい。ははは。そんなわけないでしょ。言ったでしょう。口実をつけて街に行くのが好きだって、本当の目的なんて一つだよ。適当な人間を攫って存分に血を吸うこと、決まってるじゃない。はは、いいね、その表情。もっと楽しいことを教えてあげようか。今日もね、一人吸い殺してきたよ。今日の獲物は大男だったから、山に捨てに行くのに苦労しちゃってさ。それでここに来るのが遅くなったんだよね。まだ血の匂いが手に残ってる。ほら、嗅いでみる。あ、痛いな。はは、怒ってるの？約束は違うって？そうだよね。まあ、その通りだけどさ。でも、なんで俺が約束を守ると思ってたの？ほかの夜叉はどうか知らないけどさ、俺があんたとの約束なんか馬鹿正直に守るわけないじゃない。はは、ひどい？そうかな。でも聞いてよ、これにはちゃんとしたわけがあるんだよ。あんたの血はこの上ないご馳走だけど、ご馳走ってさ、たまに食べるくらいがちょうどいいんだよね。普段は質素な食事にしとかないと、どんなに豪華な料理も飽きちゃうじゃない。俺、あんたの血が大好きだからさ。そんな悲しいことになるのは嫌だなって思って。だから普段は腹が減ったら、街の人間で我慢してるの。これもあんたの血をすごく大切に思ってるからなんだよ。ふふ。ね、ちゃんとした理由でしょ。なにも泣くことなんてないじゃない。人間なんて腐るほどいるんだからさ、そんなに気にしなきゃいいよ。ね。はは、なにそれ、脅し？言っとくけど、捕まるのなんて怖くないよ。どうせ俺は苦しんで死ぬ運命だからね。捕まって刺し殺されようが火炙りにされようがどうでもいいよ。その時はその時でしょ。俺の座右の銘は「後は野となれ山となれ」だから。どうせいつか死ぬんだし。だったらそれまでは好きに生きるよ。ちぇっ、うるさいな。死ぬのなんて怖くないよ。そんなもの怖がってどうするのさ。ほら、帰るよ。いつまでも泣いてないで。ほら、足動かして。

六、血

あれ、どうしたの。こんな夜更けに、書庫に何の用？あ、当ててあげようか。眠れなくて、暇潰しの本でも探しに来たんじゃない。あんた、あれからずっと寝不足の顔してるしね。俺が約束破ったことがそんなにショックだったんだ。はは。あ～ひどいな。無視？ああ、嫌われたものだね。じゃね、今夜も眠れない夜を過ごしなよ。はは。こほっ…こほっ…これが大丈夫そうに見えるんなら、あんたの目は節   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   だね。待った。誰も呼ばなくていい。じきに治まるから。こほっ、けほっ。夜叉のくせにこんな病を患ってるなんて知られたら、変な目で見られるよ。同じ夜叉にまでそんな目で見られるのはごめんだ。こほっ…こほっ…は、はは。自分の血はどうしてこうもまずいんだろうね。せめて美味しけりゃ、ちょっと気分が違うかもしれないのに。あのさ、悪いんだけど、そこの   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   拭いてくれる？血の跡を残しとくと、ほかのやつらにばれるから。ああ、しんど。まったく、俺は本当に運が悪くて嫌になる。うんざりだよ。夜叉に生まれたことも、病にかかったことも、全部いつもいつも俺ばっかりが苦しいんでさ。世の中不公平にできてるよね。は、さあね。何の病なんだろうね。あ、名前なんて知らないよ。分かってるのは、夜叉がかかる病はたった一つだけ、それにかかったら最後治る見込みはないってこと。俺は不治の病にかかってるんだよ。ね、なんで俺ばっかりがこんな目に遭わなきゃいけないんだと思う？どうしてこの世はこんなに生きづらいんだろうね。教えてよ。は、そうだよ。これは俺のせいじゃないんだ。俺は運が悪かっただけ。自分の力じゃどうしようもない境遇に生まれ落ちたばっかりに俺はずっと不幸を強いられてきた。でも、だけど、ふ、はは～あんただって、十分に運が悪いよね。あんたも同じだ。卑弥呼の末裔に生まれたばっかりに捕まって、一生籠の鳥。可哀相にね、本当に運がなかったね。はは、どうせならもっと不幸になりなよ。俺より運が悪くて、可哀相な不幸まみれの存在になってさ。俺を安心させてよ、ね。ははは、抵抗なんて何の意味もないっていい加減分かりなよ。あんたは夜叉の餌になるために今まで生きてきたんだ。はは。相変わらず美味しいな。はは、あんたの血を吸うと、痛みが和らぐよ。すごい。もっと頂戴、俺の痛みがなくなるまでもっと。首からばかりじゃ、物足りないよね。俺の牙をもっとほかのところでも感じたいでしょう。さっきの発作が起きるとね、その度にいろんなところが痛くなるんだ。その中でも特に痛くて苦しいのがここ、分かる？胸の奥が何かで突き刺されたように痛むんだよ。もしかしたら牙を穿たれる痛みと同じかもしれないね。ほら、試してみようよ。はは、痛い？でも俺も痛いよ。発作が起きる度にこのまま死んじゃうんじゃないかってくらい堪らなく痛む。あんたはそこに立ち会っちゃったんだからさ、俺の痛みを分かち合ってくれてもいいでしょう。ふふ、肌、血に濡れて真っ赤だよ。痛い？俺の病なんか知っちゃったばっかりに可哀相だよね、運が悪かったね。もっと、もっと不幸になって。息をする度に痛むような傷をあげるから。俺よりも不幸になって見せてよ。美味しいね、あんたの血は。本当に特別だ。力が湧いてくる。もっと。ね、もしかしてさ、あんたの血をこうしてすっかり全部飲み干したら、そうしたら俺の病が治るかもしれないね。だって、卑弥呼の血は夜叉にとって特別なんだから。試してみる価値はあるでしょう。ね、やってみよう。そうだよ、あんたを吸い殺せばきっと治る。はは、あんたを殺しちゃいけないって言われてたんだよね、でもそんなの本当はどうでもいいんだよ。だって、俺が死んだらその後はどうなろうと、俺の知ったことじゃない。あんたが死ぬことで俺が生きられるなら、そうするさ。あんたはほかの人間の代わりにここにいるんだろう。じゃ、ついでに俺の代わりにもなってよ。俺のために死んでよ、ね。ふふ、ははは～こほっ、こほっ…くそ。はは。そう、あんたの血を吸っても発作は起きるのか。治らないんだね、この病は。は、はは、やっぱり一番不幸なのは俺なんだ。は、よかったね。あんた、今ここで死ぬ必要はなくなったみたいだよ。ふ、俺のこと、早く死ねばいいとでも思ってるんでしょう。ふざけるなよ。俺は絶対に死んでなんかやらない。しぶとく生きてやる。

七、時の欠片

誰もいないよ。いないって言ったでしょ。なんで入ってくるの？まあ、夜這いに来たなら歓迎するけど。そのつもりなら、もう一回ノックのところからやり直してくれる？あんたに襲われるまで寝たふりしてちゃんと待つからさ。ん？何それ。お粥？は、あんたってどこまでお人好しなの？俺が部屋から出てこなくたって、放っておけばいいでしょう。介抱してどうすんの。俺なんて野垂れ死ねとでも思ってるくせに。あ、はいはい。聖人君子のあんたは殺されかけてもなお俺に情けをかけてくれるってわけね。はい、ありがたくて涙が出るよ。こほっ、こほっ。ちょっと咳き込んだくらいで、なにその顔。何か食べたほうがいいって言うなら、あんたの血が一番でしょう。お粥なんて食べたって本当にただの気休めじゃない。ふん、まあ、普通の食事も好きだから食べるけど。ん～わりと美味しいね。うん、案外いける。あ、発作が起きて、あんまり痛い時はその辺の物に八つ当たりしちゃうから。俺の部屋は大抵散らかってるよ。ふん、この部屋だけひどい有り様でしょ。けど、片付けるのも面倒だし、どうせそのうち死ぬなら、そんなことして何になるって思っちゃう。「立つ鳥跡を濁さず」って柄じゃないし、どっちかっていうと、濁し捲ってめちゃくちゃにしてやりたいくらい。片付けたいの？どうせすぐ散らかるのに？まあ、勝手にすれば。そこら辺の服は血が付いてるから、全部捨てて。くれぐれもほかのやつらには見つからないようにね。美味しい。ん？あ、それは時計の部品だね。は、要らないよ。それも捨ててくれる？直さなくていいんだよ。時計って大嫌い。俺が後どれくらい生きられるかを勝手に刻まれてるみたいでさ。こちこち、こちこち、耳に付くんだよ。あ、そういえば知ってる？街で時計台の建設計画が持ち上がってるの。久方振りの明るいニュースだとか言って、人間どもは騒いでた。時計台ができたら、毎日昼に鐘が鳴るらしいよ。どれくらいの音だろうね。黎明館まで聞こえると思う？もし聞こえたら、我慢できなくて壊しちゃうだろうな。時計の針を銃で落としてやって、鐘は上から落として、二度と綺麗な音が鳴らないないようにしてやる。それで最後に火を点けてお終いっと。は、はは。街の人間が落胆する様が眼に浮かぶよ。うるさいな。駄目なんてこと言われなくても分かってるよ。そもそも完成まで俺が生きてるかも分からないんだからさ。これくらいの冗談したっていいでしょ。ふん、本気に聞こえた？でもどうせ実行されないんだから、結果的に冗談にしかならないよ。いくら俺が何年先のことを語っても、全部冗談で終わるんだ。実行なんて一つもできないんだから。そうだね、どうしたって治らないよ。何しろ罹患の原因すら分かってないんだから。一応もしかしたらと思って、書庫の文献を漁ってみたりもしたよ。ここの書庫は古い本が多いから、夜叉の病についても何か記述があるんじゃないかって。もちろんそんなものは一切なかったわけだけど。ふん、あんたの血も効かないわけだし、お手上げだよね。はあ、ほかのやつらになんか聞くわけないでしょ。知られたくないって言ったの忘れた？絶対に言わないでよ。まあ、もしかしたら誰か薄々感ずいてるかもしれないけど。それでも、俺は最後まで白を切り通してやる。ただでさえ、夜叉は人間から差別されるんだ。夜叉の間でくらい対等でいたいと思ってもいいでしょ。薬？飲んでないけど。病院？嫌だな、勘弁してよ。体を弄られるのは趣味じゃないんだ。あんなところ誰が行くものか。あそこは死に支配される場所だ。俺は死をもたらされる側に回るのはごめんだよ。病院ってそういう場所でしょ。それに、夜叉の病は人間に治せない。それくらいは一々試さなくたって分かるよ。痛み止め？俺のためにもらいに行ってくれるの？ん…別に構わないけど。でも、なんで。どうしてそこまでするの。俺が病持ちだって知って同情してるの？それとも、底抜けのお人好しだから、その偽善を俺にも振り撒いてくれる気になった？は、はは。そんな理由？具合が悪い人には親切にするべきなんて、それだけの理由で俺にも親切にしてくれるんだ。はは～全然理解できないや。なにそれ。気づいてる？今、あんたは俺を人って言った。夜叉じゃなくて、人って言ったんだ。俺に吸い殺されかけたくせに。ふん、面白いな。

八、誘惑の時間

起きてる？入るよ。あ、お早う。朝食はもう食べた？そう。じゃ、朝食がてら、お茶しない？カステラの残りがあるから、一緒に食べようよ。はは、そんな警戒しないでよ。今日は天気がいいから、あんたと一緒にテラスでお茶をしたら、どんなにいいだろうって思っただけ。本当だよ。先に用意をしてるから、おいでね。待ってるよ。あ～来てくれたんだね。うん、こっちに座って。朝食がまだなら、カステラだけじゃ足りないよね。台所にあった果物も適当に持ってきといたから、食べてね。はい、暑いから気をつけて。お、砂糖がほしかったら、これね。好きに使いなよ。ほかにほしいものはある？そう、分かった。それじゃ、いただきます。太陽ってあまり好きじゃないんだけど、あんたは青空と陽の光がよく似合うね。一番可愛いあんたを真っ正面から独り占めできて、嬉しいな。あ、大丈夫？どうしたの、急にカップを落としたりして。紅茶、かかってない？見せて。よかった、平気そうだね。驚かさないでよ。火傷なんてしたら大変だ。もっと体を大事にしてよね。っ。その顔、ときめいてるって感じじゃないね。こういう風に接されるのは好みじゃない？ちぇっ、不気味だなんて、心外だな。女を惚れさせるのは結構得意なつもりなんだけど。ああ、もしかして強引のほうが好み？だったら…逃がさないよ。あんたのすべては俺のものだ。ほかの男なんて目に入らないように、あんたの頭の中全部俺で埋め尽くしてやる。ほら、俺の声も息も熱だって、あんただけのものだよ。もっと感じてよ。はは、これくらいでへたり込むの？初心だね。そんなところも可愛いけど。ん？あれ、まだどういうつもりなのかなんて質問できるくらい冷静なの？ん～もうちょい熱に浮かされてほしいんだけどな。ああ、ちょっと部屋に戻るなんてなしだよ。せっかく場をお膳立てしたのに、どうして俺を好きにならないかな。あっ、言っちゃった。あ、だからさ、あんたに俺を好きになってもらおうと思ったの。まあ、いいや。全部ばらしちゃうか。案外あんたにはそのほうが効くかもしれないし。まあ、とりあえず、席に着いたら。昨日さ、あんたと話してて思ったんよね、あんたなら俺を好きになってくれるかもしれないって。よくよく考えてみると、俺はさ、死ぬこと自体はそんなに怖いと思ったことがないんだ。それよりも恐ろしいのは不運と不幸に塗れて孤独に息絶えること。あんたは呆れるほどお人好しで、可哀相な人を放っておけない(xing)分なんでしょう。だから俺は全力でそこに付け込んでみようかと思う。あんたなら、俺が孤独に死ぬのを防いでくれる人間になるんじゃないかって期待してるんだよ。だから長い昔話を聞いてくれる？俺の過去を曝け出すから、あんたはそれを全部受け止めて。俺を好きになってよ。

九www.otomedream.com#0?8 [6 e7 l; g p3 q、嘘を乞う

俺が生まれたのは夜叉狩りに怯えながら、山奥で暮らす両親の元だった。里の人間の目に付くことを恐れ、山から下りることもめったにない暮らしは窮屈でね。それである日家を飛び出したんだ。人目を避けて生きるんじゃなく、人間の社会に溶け込むために警官になった。相当な努力の末に拳銃所持の特別許可をもらった時は結構嬉しかったね。それからは、射撃の名手として各地に呼ばれるようになってさ。日本中に出張して、射撃訓練の教官として活躍したよ。血が吸いたくなったら、夜に適当な人間を捕まえて吸い殺して。ふん、わりと悠悠自適の生活を送ってた。あの頃は楽しかったね。人間としての暮らしと吸血衝動にうまく折り合いをつけてたから。まあ、ちょっと吸い過ぎかなってくらい人間を殺してはいたけどね。腹が減るんだから、仕方ないでしょ。けど、いつからだったか、徐々に体調に変化が現れた。気怠さとか、どこかが鈍く痛むとか、そんな程度だったんだけど。でも夜叉は病にかからないはずだから、気のせいだろう、寝不足か何かでしょって自分を誤魔化して。しばらくして、箱館戦争の最中で発作が起こった。もう日が沈むってのに、まだやるのかね。暗くて見通しが悪くなってきたし、鉄砲隊はそろそろ引き上げさせてくれないかな。あいつらは五稜郭まで敗走してるんだから、もうほとんど勝ったも同然だし。こほっ、こほっ…口から吹き出した血がぱたぱたと足元に赤黒い染みを作った。周りにいた同僚たちがぎょっとしたように俺を見て、どこか撃たれたのかと心配してくれる。俺はつくづくと痛む胸を押さえ、呆然と足元を見つめていた。そういえばと思い出す。両親から聞いたことがあった。夜叉は人間がかかるような病には一切冒されないけれど、稀にたった一つの病を患うことがある。それは夜叉のみが罹患する病で、かかったら最後決して治ることはない。夜叉の病は不治の病なのだ。こほっ、嘘でしょ。病、俺は夜叉の病にかかったのか。つまり俺はどこまで行っても夜叉なのだとその時悟った。どれだけ警官として活躍しようと、銃の扱いがうまくなろうと、新ZF軍と幕府軍の戦に貢献しようと俺には何の意味もない。だって、俺は夜叉だから。人間の社会がどうなろうが知ったことじゃない。一体俺は今まで何を頑張ってきたんだろう。そう気付いたら、腹の底から笑いが込み上げてきた。は、はは、そうか。そうだったんだ。俺は何をしたって決して人間にはなれない。だから夜叉の病にかかって死ぬ運命なわけだ。はは、ははは、そうか。なるほどね。だったら、これ以上人間のふりをして戦に精を出す理由もないじゃない。はは、ははは。なんだ、今までの努力は全部無駄だったのか。お前ら人間と仲良しごっこもお終いだ。どいつもこいつも皆死んじまえ。はは、仲良し同僚ごっこは楽しかったよ。でもお前ら全員ここで終わりだ。さよならだ。   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   される恐怖も知らない、平和ボケした人間ども、お前らなんてずっと大嫌いだったよ。はは、ははは～どんなに自分を偽ったところで、俺は人間になれない。そう気付いたら、いろんなことがどうでもよくなっちゃった。それからは戦が終わるまで敵だろうと味方だろうと、気が向いたら血を吸って殺してやった。戦場で命を削ること自体が馬鹿らしいから、鉄砲隊の任務もお座なりになったよ。それを咎められれば吸い殺して黙らせた。そんなことをしてたら、やがて戦が終わった。いつの間にか味方殺しは敵のやったことになってて、俺は見事に生き残った英雄として褒め称えられ、勲章をもらった。けどそんなもの、もはや嬉しくも何ともなくてさ。だから後は好き勝手に生きることにした。男女問わず手を出して、体を繋げながら血を吸うことを覚えたよ。毎日毎日いろんな人間の血を吸っては殺し続けた。人間の血って皆違う味がするから、飽きることもなかったしね。吸血衝動がなくても、吸い殺すのが当たり前になった。それで以前だったら保身のために絶対に手を出さなかっただろう、上官の奥方にも手を出したんだ。そしたら、   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   で愛を確かめ合ってる最中に上官に踏み込まれちゃってさ。血を吸う前だったから、夜叉ばれはしなかったけど、風儀がどうこうとか散々騒がれて警官の身分を剥奪された。で、島流しにあいかけたんだよね。でもその直前に幻斗さんが助けてくれたの。それで俺は黎明館に世話になることになった。ここは空気が綺麗だし、書庫には古い文献があるっていうし。まあ、ほかに行くところもないから、いいかなってそんな感じでね。以上が俺の半生。夜叉に生まれ落ちて、いいことなんて一つもなかったよ。なんで俺は人間として生まれてこれなかったんだろうね。どう、俺はあんたの優しさに付け込めたかな。同情でも何でもいいよ。あんたが俺を好きになるきっかけになるなら、長々と話した甲斐がある。どうしてそんなことを言うの？俺に殺された人たちなんてどうでもいいでしょう。物言わぬ死体に同情してる暇があったら、今目の前にいる俺に同情してよ。ちぇっ、無理だよ。他人を不幸にしなきゃ、俺ばっかりが不幸じゃないか。そんなの嫌だ。俺はのうのうと暮らす人間が憎い。夜叉を理解しようともせず、ただ追い立てて大手を振って街を歩いているやつらが憎い。だからできるだけたくさん血を吸ってやるんだ。楽しそうにしてる人間の息の根を止めるのは愉快だよ。幸せそうにしている人間が絶命していく瞬間はね、どうしても笑っちゃう。だって、その時は少なくとも俺はこいつより不幸じゃないって思えるから。あんたがどう思おうが、俺から見れば俺がこの世で一番不幸だよ。人間は皆どいつもこいつも幸せそうに笑うじゃないか。だから俺は人間を不幸にしないと気が済まない。いずれ死に至る病を抱えて苦痛にのたうち回る俺よりもずっと不幸な人間がほしいんだよ。そうして俺が殺した人間とその人間を思って泣く人間ばかりが溢れるようになったら、俺はちょっとだけ幸せを感じられるようになるかもね。人間を殺さないのなんて無理だってば。それともあんたは俺の怒りも憎しみも全部受け止めてくれたりするの？ほかの人間の分、全部だよ。じゃ、俺に愛してると言ってよ。多分俺はずっと人間に愛されたかった。俺を人間として受け入れて、心から好きになってくれるような人がほしかった。ね、俺を好きになってよ。愛してるって言ってみて。は、嘘つき。どうかな。努力なんかであんたは俺を好きになれるのかな。全然信用できない。やってみなよ。ほかの人間を守りたいなら、俺を愛してみせて。

十www.otomedream.com#0?# F- c! m4 V1 g、歪な糸

痛い。ね、起きて。血、もらうよ。大丈夫。あんたの血を吸えば、ちょっとはましな痛みになるような気がするから。痛み止め？じゃ、あんたが飲ませてよ。口移してさ。でないと飲んでやんないよ。薬が嫌いなんだ。どうも。あんたも随分と俺に慣れたもんだね。せがめばそっちから口付けしてくれるようにまでなるなんてさ。それも、俺を好きになるっていう努力の賜物？あれからあんた、毎日俺の部屋に来てくれるから、結構驚いてるんだけど。こんなに人がそばにい続けてくれたことなんて今までなかった。これくらいのことが嬉しく感じるなんて、ふん、自分でもびっくりだよ。ただあんたがちっとも俺を楽しませてくれないのが玉に瑕だけど。大分楽になってきた。っ。その紐、
前にあげたやつ。まだ持ってたの。ていうか、また綾取りを見せる気？いいよ。あれ死ぬほどつまらないから。今見せられたら、つまらないショックで本当に死ぬかも。はっ、二人でやるの？なんで。分かったよ。じゃ、少しだけね。もう、ほかにやることもないし。と、はい。指、抜くよ。ん～やっぱこれ絶妙につまらないね。手慰みなら、もっと色っぽいことでもしたらいいのに。ね、ここのところ毎日一緒にいるけど、あんたまだ俺のことを好きじゃないよね。どうしたら俺を好きになってくれるの。ようやく俺のそばにいてくれそうな人間を見つけたんだから。絶対に離したくないんだよ。あんたに愛されたい。そしたらどんなに幸せだろう。ふふ、結構好きって、また微妙な言い方だね。俺のどこが結構好きなのさ。あ～そうだね。あの時は面倒だったけど、ちゃんと街に連れてってやったっけ。帰りもよっぽど置いて帰ろうかと思ったけど、一応黎明館まで連れて帰ってあげた。ん？そうだっけ。お粥美味しいなんて俺言ったかな。覚えてない。あ～まあ、綾取りに付き合ってあげてるのはあんたの気を引きたいからだけど、内心じゃめちゃくちゃつまんないって思ってるからね。ふん、俺が何だかんだで優しい。ん～俺の優しいところを見つけると嬉しいんだ。そう。俺に幸せになってほしいと思うなら、早く俺を愛してよ。俺を幸せにするのはあんただ。そうかな。あんたのその気持ちが育っても、愛に繋がると思えないけど。だって結局あんたは俺に同情してるだけでしょ。可哀相だから放っておけないって気持ちがきっかけになればいいと思ったけど、でもそんなところから始まった気持ちって本当に愛になるのかな。俺は間違えたのかも。俺ってとことん運がないよね。求愛方法を間違えたから、あんたには愛してもらえないんだ。あっ、ちょっと。否定するのは勝手だけど、綾取りがまだ途中っ…あ。切れちゃった。ふん、これってまんま俺とあんたみたいだね。ほら、お互いの指に絡み付いてるのに、赤い糸は繋がってない。ただ、縺れてるだけ。結び直したところで、糸は歪にしか繋がらないでしょう。俺とあんたの間に芽生える思いは綺麗なものじゃないんだろうね。さあね、どうしたら愛されてると思えるようになるかなんて、そんなこと分かったら苦労しないよ。

十一、幸福に溺れて

こほっ、こほっ…けほっ。どこ行ってたの。起きたらあんたがいないし、発作が起きて苦しいし。風呂？し、知らないよ、そんなの。なんで黙って出ていくんだ。身体中が痛くて、胸が苦しくて。もしかしたら今すぐ死ぬかもしれないと思った時に限って、あんたがいない。この絶望が分かる？俺を好きになるとかそばにいるとか、結局口だけなんでしょ。俺はやっぱり一人で死ぬんだ。あんたは俺を愛してくれない。俺はちっとも幸せになれない。謝られたからって何になるの。もういいよ。あんたなんか…要らない。うるさいな。寝てたって治るわけがないんだ。放っておいてよ。なんでついてくるの。そうだよ、街に向かってる。これから適当な家に押し入って、できるだけ多くの人間を吸い殺してやるんだよ。どうせ死ぬなら、幸せな連中を一人でも多く不幸のどん底に落としてから死んでやる。ほら、ちゃんと銃も持ってきたんだ。ついてくるなら、楽しい楽しい血祭りを見せてあげる。放してくれる？止めないよ。もうどうでもいいんだってば。放せよ。こんなことに意味なんてあるものか分かるだろう、それくらい。夜叉として生きることにもう未練なんてないんだよ。だから最後に人間どもを不幸にしてやりたいだけ。このどうしようもない怒りぐらい最後に発散したっていいだろう。ちぇっ、そんなに止めたいなら、じゃ、俺と一緒に死んでよ。いつか一人で死ぬくらいなら、今すぐここで誰かと死ぬほうがましだ。あんたはそれを叶えてくれるの？はは、そうだよね。無理に決まってる。は、はは。でも今分かったよ。あんたに愛されてるかどうかを実感できるのはあんたが一緒に死んでくれた時だけだ。その時俺は初めてあんたの愛を知って、幸せになれる。あんた、俺を愛したいんでしょ。不幸な人生から救ってやりたいと思ってるんでしょう。だったら、首を出してよ。そして今、ここで俺に吸い殺されて。それができないなら、館に戻って震えてればいいんだよ。俺は何人か殺したところで捕まって、そのうち惨たらしく処刑されるだろうけどさ。あんたがそれに責任を感じる必要なんてこれぽっちもないから。じゃね、バイバイ。なに、まだ俺に用があるの？は、何の冗談。全然笑えないんだけど。本気でやってるの？俺に吸い殺されてもいいって思って、首を出してる。言っとくけど、俺はさっきから全部本気だよ。あんたが首を差し出すなら、吸い殺すし。ふふ、馬鹿だね。遠慮なんてしないから。息を吐いて、大きく吸って、もう一度吐いてごらん。は、痛くないでしょ。気持ちよくいかせてあげる。掴まって。まだまだ全然だよ。こんなんじゃまだ死ねない。分かる？体を繋げるよりもっと深いところを抉られてるの、そんなの気持ちいいに決まってるよね。一緒に死んでくれるなんてあんたは本当にお人好しで可愛いね。あんたが腕の中で息絶えたら、俺はこの上なく幸せだろうな。ん？泣いてるの？涙も、血も、体温も全部俺が奪ってあげる。好きなだけ泣くといいよ。は、俺のことまだ可哀相だっていうの？だって仕方ないじゃない。こうでもしなきゃ、愛なんて信じられない。殺されても、それでも俺のことが嫌いになれないって言うんなら、それは愛なんじゃないかな。ね、どう？俺のこと嫌いになりそう？そうなんだ。は、嬉しいね。俺もどんどん青ざめてくあんたの顔を見てると、ほっとする。本当に俺のために死んでくれるんだって。ね、好きって言ってよ。俺を愛してる。かもじゃなくて。ふふ、そう。まだあんたは死んでないから、嘘かもしれないって思うのに。何だろう、嬉しいものだね。は、随分飲んだ。ね、まだ見えてる？ほら、あんたと手を繋ぐと、血が俺の指にも伝ってくる。まるで糸みたいだね。舐めても舐めても、どんどん伝ってきて。すごく丈夫な赤い糸みたいだ。もうすぐあんたの愛が手に入る。おかしいな。いつもとは違う痛みを胸に感じる。あんたが死にそうなんだと思うと、ここ左の胸だけが痛くて、痛くて。これが愛なのかな。ね、俺は夜叉に生まれてずっと不幸だったけど、でもあんたに愛してもらえるなら本当はそうでもなかったのかもしれないね。何より夜叉に生まれなきゃ、あんたに会うこともなかった。はは、案外世の中は平等にできてるのかも。あんたのおかげで夜叉に生まれたのもそんなに悪くなかったかもなんて、一瞬でも思っちゃったよ。ね、聞こえてる？もう気持ちいいのもとっくに逝っちゃったかな。何も感じない。俺もすぐに後を追うよ。今たまらなくあんたが愛しい。あんたを愛してるよ。

十二www.otomedream.com#0?* b$ c# q1 Y( l( e、消えかけの灯火

けほっ、こほっ。大丈夫。結構しぶといんだよね、この体。っ。待って。まだ足りないよ。痛み止めじゃなくて、こっち口付けのほう。っ。また貧血？もう血が足りないのが普通になっちゃってるね。いいよ。眠りな。お休みの挨拶は？は。うん、俺も愛してるよ。結局俺はすんでのところであんたを殺すのを止めた。あんたの愛は間違いなく本物で、そんなあんたを愛しく思うこの気持ちもやっぱり本物だと思ったから。だったらこの命が尽きるまでの僅かな間、あんたと過ごすのも悪くない気がして。俺の残り時間は全部あんたのものだよ。もう分かってるよね、そんなの。ぐったりと眠るあんたの白い頬にそっと触れる。命の灯火が今にも消えそうなその冷たさすらも愛しい。ね、いつか今度こそ一緒に死のうね。俺が血反吐を吐いて死ぬその時にあんたも一緒に死んでくれるでしょ。死すらも俺とあんたを分かってない。幸せだね。あんたの体のあちこちに開いた牙の   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   からとろりとした赤い血が滲んでいる。ここのところは目が覚めると常に喉が渇いているから。だからあんたの傷は癒える暇がない。だけど、あんたは俺に好きなだけ血を差し出しながら、穏やかに笑う。その笑顔を向けられる度、優しく抱き締められる度に愛しさが募る。好きだよ、愛してるよって囁くのを止められない。好きだよ。そういえば、時計台ってどうなったんだろうね。建設は始まったのかな。ね、時計台の鐘が鳴るまで俺たちは生きてられるかな。絶対に無理だと思ってただけど、俺はまだ死んでないし、案外可能(xing)があるかもよ。は、鳴り響く鐘の音を聞きながら死んでいくのっていいと思わない？うん、すごくロマンチックだ。俺とあんたの時間が許す限り、どんな風に死にたいか考えてみようか。できるだけあんたの要望に沿ってあげるよ、ね。楽しそうだね。俺も眠くなっちゃったな。一緒に眠ろうか。幸せだな。ありがとう。愛してるよ。(^з^)-☆

litter-ba8 · 发表于 2014-12-28 21:25:16

楼主实在是强啊，这么快又出了花花这发双碟的，台词量也不小啊，
一直很喜欢花花的声音，总感觉比前野、 ***下载/download/otomedream/ダウンロード*** 的碟总听的清楚、明白些。
虽然不太喜欢冲方这类(xing)格的吸血鬼，但这系列剧情还是挺不错的，总有些令人触动的地方！！

昨日b · 发表于 2014-12-28 21:29:52

原来是立花！听起~感谢台本~~

pluto115 · 发表于 2015-1-3 08:25:37

楼楼的效率真的好高啊！最近总算下到土豪花这张碟了，准备这就copy走楼楼的台本翻成中文就着多拉马听，翻译配多拉马风味独家！
话说立花这只真的是只小恶魔呀，印象最深就是第三轨TX妹子，什么“想吃点心？你要是能取悦我我就可以考虑考虑让你吃……”哈哈真坏
但是末尾那句“愛してるよ”真是让我甜死啊！！LZ万岁！

brokenwind · 发表于 2015-1-20 18:51:50

啊，找了好久，终于有台词了，感谢楼主的分享！
说实在的立花的词还是比较清晰的，这只吸血鬼的表现的确很不错哩。
就是BGM有时候听起来怪毛骨悚然的。。houn133

帐号		自动登录	找回密码
密码			注register册

[〖全年龄〗] 【原創】明治吸血奇譚「月夜叉」師走の巻冲方躁 CV.立花慎之介［本篇台本翻訳無］

其他会员正在看的帖子

相关帖子

[〖全年龄〗] 【原創】明治吸血奇譚「月夜叉」師走の巻 冲方 躁 CV.立花慎之介 ［本篇台本 翻訳無］

其他会员正在看的帖子

相关帖子

[〖全年龄〗] 【原創】明治吸血奇譚「月夜叉」師走の巻冲方躁 CV.立花慎之介［本篇台本翻訳無］